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書籍紹介

生命を考える

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近頃読み終わった本です。

「今日我々のような真核細胞からできている多細胞生物がなぜにこんなにも進化・複雑化することができたのかはミトコンドリアがいたからである。」壮大な生命の神秘を様々な領域の研究成果を横断的にまとめ、ライフサイエンスを選考しない人にもわかり易くストーリーにした一冊です。



本書の内容を非常にかいつまんでみると、
・細胞の起源。(海底にあるブラックスモーカーと呼ばれる熱水噴出孔の周りに生じた鉄硫黄化合物の微小な泡が細胞の起源であるらしい。この泡の内外に水素イオンの勾配ができ、それによって生じる化学浸透圧を利用して細胞の活動に必要なエネルギーを産生する事ができるようになったらしい。)

・原核細胞である細菌が真核細胞のように複雑化できなかった訳。(限られた栄養源の中で他の細菌と競争して勝つためには細胞分裂を速くしなければならなかった。そのためにはDNAの複製をすばやく行う必要があり、不要なDNAはどんどん削っていくしかなかったから。)

・原核細胞がなぜミトコンドリアを取り込んで真核細胞の原型を作ったのか。(恐らくメタン生成菌とα-プロテオバクテリアの一種が共生をし、最終的にはα-プロテオバクテリアがメタン生成菌に取り込まれ、ミトコンドリアになった。)

・呼吸を司るミトコンドリアがどうやってエネルギーを産生するのか。(膜の内外の水素イオンの勾配による化学浸透圧を利用してエネルギーの元であるATPを作っている。そのATPはミトコンドリアの膜上の13の酵素で作られるが、13の酵素は全てミトコンドリアのDNAにコードされている。)

・受精卵から生体への分化や日々の組織の更新に重要な役割を果たしているプログラムされた細胞死(=アポトーシス(細胞の自殺のようなもの))がどうやって起こるのか。(ミトコンドリアから放出されるフリーラジカルによってコントロールされている。)

・有性生殖では、核のDNAは両親から受け継ぎ、ミトコンドリア(のDNA)はほとんどの場合において母親からのみ受け継ぐ。

なぜ有性生殖をするのか?歳をとるとなぜ老化に伴う変性疾患にかかるのか?にも言及していて、どちらにもミトコンドリアが重要な役割をしていると示唆されています。このほかにも書ききれないくらいたくさんの事柄について解説されています。

と書くと非常に難しい本のような気がしますが、多くの専門用語に脚注がついていて、また、いろいろな例えを出して解説しているので初心者でも理解できるように工夫されています。

ミトコンドリア。中学生の理科以来で懐かしい響きの方もいらっしゃるでしょう。そんなミトコンドリアが我々の進化、日々の生活、生死をも司っているようです。

本書の老年性変性疾患の解説の中で「変性疾患の起き易さはミトコンドリアに溜まったDNAの変異が原因であり、その変異が閾値を越えると病気が発症しやすくなる。ミトコンドリアのDNAにかんしてどの程度変異が溜まっているのかを検査してくれるサービスがある。変異が少なく、変性疾患が起き難い体質の人は長生きのリスクを考え資金計画を十分に行うべきかもしれない」と言う趣旨のくだりがあり、資産設計に関してそんなアプローチも将来的にはメジャーになってきたりしてなどと思ってしまいました。

また、「フリーラジカル(≒活性酸素)を消去するようなアプローチで老化を防ごうと言う考えから、抗酸化剤のサプリメントが流行っているが、このアプローチでは老化は防げない。」と言うことも書かれています。

本書を通じて、我々はどこから来たのか?生命とは何なのか?なぜ進化できたのか?このような進化は例えば他の星でも起きうることなのか?などいろいろ考えさせられました。(といっても難しすぎて答えは出ませんが・・・)
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